がんばって運動すると息が上がってドキドキしますね。
これは運動で活動する筋肉がエネルギーや酸素を欲している証拠です。
赤血球によって血液中に酸素が溶け込みますが、
溶け込む酸素の量は基本的には赤血球の量(ヘモグロビンの濃度)で決まります。
でも、酸素が多く必要だからといって、赤血球の量を瞬間的に増やすことは難しいので、
身体は、血液を送り出す量を増やすことによって酸素の供給量を増やすよう対応します。
1分あたりに送り出される血液の量を心拍出量と言います。
[心拍出量 cardiac output](mL/分)
= [1回の心拍動で送り出される血液量: 一回拍出量 stroke volume)](mL/回)
× [心拍数 heart rate](回/分)
で表されます。
心拍出量は一回量と回数のかけ算で決まるわけなので、
これを増やすためには、一回拍出量を増やすか心拍数を増やせば良いわけです。
運動に伴って一回拍出量も若干増えるのですが、増えても数十mLがせいぜい。
安静時の1.1~1.3倍程度がいいところです。
それに対して心拍数は必要時に安静時の3-4倍程度にまで増やせるゆとりがあり、
しかも心拍数はごく短時間で変化させることが可能です。
なので、運動に伴って筋肉が酸素を欲しがった場合には、
必要に応じてオートマチックに心拍数が上がる仕組みになっています。
自律神経が上手いこと調節してくれるんですね。
裏を返せば、運動中の心拍数はからだの酸素要求量の多さを反映し、
言い換えればその人にとっての運動のキツさを反映する一つのもの差しになるわけです。
心拍数が最高どのくらいまで増えるのかは人によって違います。
通常は運動強度を増すに従って心拍数は直線的に増加し、
最大心拍数になるとそれ以上強度を上げても心拍数は頭打ちになります。
ちなみに最大心拍数は、高ければ凄いとかメリットがある、という話ではなく、
これは単純に個性の問題だと思ってけっこうです。
また、同じ人でも年をとる毎に最大心拍数はじわじわ低下していきます。
年をとるとエンジンの最大出力は低下してゆくんですね。悲しいですけど。
でも心拍数は、数字の大きさを競う種類のものではないので、
とりあえず最大心拍数はどこかに置いておいて。
気にしてみると面白いのは、それぞれの人での
・自覚的な運動の強さと心拍数の関係
・スピード(ペース)と心拍数の関係
でしょうか。
なんで面白いのか?というと、
これらはその時の「無理」を反映する客観的な指標にもなりますし、
同じ強度の運動でもトレーニング状況や体調によって変化するからです。
トレーニングの度に心拍数をモニターしてみると、いろいろ気付くことがあるはずです。
また、レースの時の記録を振り返ってみると、レース運びの反省にも役立つことが
いろいろありますよ。
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