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木質系フィラメントってどんなもの?Nature3D製wood 52%フィラメントW418を試してみた③

  • 執筆者の写真: KOH Shimamura
    KOH Shimamura
  • 2020年5月26日
  • 読了時間: 4分


さて、木質フィラメントはアクセサリーやフィギュア的な用途で使う方が多いのだと思いますが、今回印刷したかったのは強度を要さない実用品です。木っぽい箱などを作れるのかを見てみたかったのです。以前作成した小型ルアーケースをこのフィラメントでプリントしてみることにします。



前回の印刷結果を踏まえてヒートベッドは70℃に上げました。

今回もこれまでと基本的に同じ設定で印刷してみようと思いましたが、大きくて時間がかかりそうなのでちょっと強気にスピードアップしてみます。印刷速度は80mm/s(インフィル80mm/s、壁40mm/s)です。

パーツは蓋とケースに分かれているので、まずは蓋のほうから印刷です。これまでと同じ設定だと吐出量が少ないという懸念がありましたが、壁とインフィル部分の様子からは造形に問題が起こるほどでは無いような感じです。インフィルも途切れたり倒れたりせずにしっかり積層できています。



蓋のプリントが終わりました。やはりPEIシートの場合ヒートベッドは70℃だと剥がれは起きないようです。天井面はインフィルのあとが見えますが、これはやはり吐出量の少なさから来ているのか、それとも粘度が低いためにインフィルの隙間にフィラメントがたわんだ結果なのかはわかりません。面としてはほぼ平滑ですが、模様のように見えます。

立ち上がり部分は問題ないようです。横の出っ張り部分については今回垂れ下がりはほぼ無いようです。突出部分がごく小さかったためでしょう。

しかし、少々気になったのが面の縁の部分です。面の塗りつぶしの端に穴が開いたような感じになっています。

吐出量が想定よりも少なくなっていることを反映しているような気がします。何故そうなっているのかは現時点では不確定です。樹脂の柔らかさによるエクストルーダーギアの滑り、チューブ部分の摩擦抵抗、樹脂の加熱が足りず粘性が強く抵抗になっている、などを疑っています。ベストの印刷のためには今後検証、調整が必要そうですが、ひとまず強度的にはそれなりに保たれていますので、これで良しとします。


 

続いてケース本体です。設定は変えずにそのまま印刷を続けます。

やはり浮いた部分は非常に苦手ですね。。。

突出がわずかあっても、その長さが長いと樹脂がくっついて固まる前に垂れ下がってしまうようです。ケースの縁上部にある、蓋のガイドになる突起が部分的にうまく造形できていません。

印刷が終わったのでピンセットで余計な部分を取り除いて、実際使えるかを確認してみましょう。さて、ちゃんと使えるでしょうか?

造形物表面は樹脂単体よりも摩擦は強そうですが、組み合わせはわりとスムーズです。ちゃんとスライド蓋として使えそうです。

キッチリはまりました。蓋を外すときに折れたりしないかちょっと心配でしたが大丈夫のようです!


 

今回印刷したものを振り返ってみると、何も考えない印刷でもそのままで概ね問題なく印刷できました。


直角立ち上がりの仕切り部分は厚さ1mmですが良好な造形です。蓋とケース本体合わせて3時間程度の印刷でしたが、途中で詰まったりすることはありませんでした。低温吐出で印刷可能なためかフィラメントの焦げも皆無です。今回3つのモデルを試しに印刷してみましたが、オーバーハング部分の処理をうまくやればそれほど神経質な扱いは必要ないという印象です。

サポートを使用したらどうなるのか?これについては現時点では未検証ですが、今回の印刷結果を考えると、かなりZ-distanceを短くとらないと垂れ下がってしまいそうです。そして金額を考えるとサポートに余計なフィラメントを使いたくないという気持ちもありますね笑。可能な範囲でオーバーハング角度を厳密にコントロールしたり、サポート不要な造形やスライス角度の設定が現実的かもしれません。


強度的にはまあそれなりでしょうか。PLAやPETGなどのプラスチックとは違い、今回のような1-2mm程度の厚みのモデルであれば、ちょっと強い力を加えればおそらく簡単に破壊できるでしょうが、通常使用ではそうそう壊れないだろうという印象です。表面は樹脂のようにカチカチで乾いた感じではなく、ややしっとりしてパラフィンを思い出しました。


おそらく多くの人の「木」という言葉のイメージとはちょっと違ったものと思いますが、プラスチックとは明らかに違った素材であることは確かです。香りも木粉からできていることを十分に想像できる程度に残っています。イメージとしてはMDF材に近いかもしれません。「木材的な樹脂」と「樹脂的な木材」どちらかを選びなさいと言われれば、個人的には「樹脂的な木材」を推します。


印刷後に削ったりの後処理や、年輪のようにレイヤーが目立つような造形を工夫するとさらに木質感が強く出たりするのかもしれません。塗装なんかはどうなのか?ちょっといろいろ試してみたい感じはありますが、また後日検討してみます。


それでは~


(3/3)

 

使用フィラメント:


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